私は八島紀子に闇を吐き出した。
 次は彼女の番だ、そう思っていたが、次の日から彼女は私の部屋に来なくなった。

 理由はわからなかったが、わざわざ探し出すようなこともしなかった。
 探そうと思えば出来たかもしれなかったが、そんな気にはなれなかった。


 それから二週間後、もうすっかり整頓された私の部屋に学長が訪ねて来た。

 「北島先生。八島という生徒がカウンセリングを受けに来ましたか?」

 テーブルを挟んで向かい合った学長は開口一番そう言った。

 「ええ、三週間ほど前に。と言ってもここ二週間来ていませんが」

 私の返事を聞くと学長はそうですか、と言って封筒を私に差し出した。

 「彼女からです」

 「え・・・?」

 「彼女の部屋から見つかったそうです」

 学長の言葉に私は怪訝そうな顔を見せた。

 「見つかったって、どういう・・・・」

 私の言葉が終わらないうちに学長は言葉で私を遮った。

 「彼女は、二週間前に亡くなりました」




【Back】 【Next】