「じゃあ、告白するん?」
朝。
いつものように佑也、啓介、英多は教室の一角で仲良く話している。
空は青く澄んでいていつもより高く見えた。
もう秋が近いのかもしれない。
少しずつ涼しくなっていくのを肌が感じていた。
「それは無理」
「なんでや?」
机の上に座った啓介が聞く。
「なんでって、相手にされないよ」
「そんなんわからへんて。やるだけやってみろや」
よほど啓介は英多に告白させたいらしい。
あの日から毎日そんなことを言っている。
新しいおもちゃを見つけた子供のようにも見える。
「せっかく恋の大先輩の佑也様がいんねんし」
と言って裕也を指差す。
それまで黙って聞いていた佑也は小さなため息をついて口を開いた。
「だからー。英多の気持ちによるんだって」
「と、いうと・・・?」
「英多は告白したいのか、それとも今の一目惚れのままでいいのかってこと」
佑也の言葉に英多はうつむきながら答えた。
「そりゃあ出来るなら話かけたいし、告白もしたいよ・・・」
英多の答えに裕也は微笑んだ。
「ならあとは勇気をだすだけじゃん」
「勇気・・かぁ・・・」
「やっぱり・・やったほうがいいよね・・・」
しばらく考えていた後、英多は少し目を伏せて言った。
「よっしゃあ!」
啓介が飛び上がって喜んだ。
「何なの、お前は・・・?」
裕也が啓介に苦笑いした。