◆青空と石◆
アスファルトににじんだ僕の影は、君だ。
どれくらい、こうしているだろう。
二つ並ぶはずの影は、今は一つ。
けれど僕の影は確かに、君だ。
入道雲は青空をゆっくりと流れていく。
サァッと吹く風が、緑の草を撫でる。
僕は小高い丘の上にあるアスファルトの道路に立ち、目をつぶる。
爽やかな夏の青空が僕の上に広がるのを感じる。
両手を広げてみれば、抱えきれないほどの風がその両手に包まれていく。
さぁ、そろそろ行こうか。
僕は、丘の下に見える、君が眠る場所を示す石に別れを告げると背を向けて歩きだす。
僕について、影も歩き出す。
爽やかで、どこまでも広がる青空を仰ぎ見て、僕は願う。
アスファルトににじんだ僕の影、どうか君であれ。
戻る
|